君のところへあと少し。

12

ハルをずっと見ていた。


出会ってから何年だろう。
5歳も年上なのに、どう見ても年下にしか見えないハル。


化粧っけのない、子供みたいな表情。
華奢な身体。抱き上げたらあまりにも軽くて驚いた。
ジムで挙げているダンベルのが重い。

作る料理は旨いし、スイーツは絶品だ。
持っている雰囲気はやわらかく、側にいればすぐにわかるくらい暖かい女の子。

守りたい。


まだまだ若造だけど。
ハルを守りたい。


好きだ、と口にすると何処か手の届かない所に飛んで行ってしまいそうなハル。

言うタイミングを度々逃してきた。

1年前の祭りに誘った時も言うつもりだった。
なのに人混みに酔ったハルが真っ青な顔をしていたもんだから、それどころじゃなくなった。



好き、という言葉を口にするタイミング。

これが重要。


波に乗る時も同じだ。

タイミング。


(今日はどうかな。祭りいかなくてもいいから、二人で過ごせたら。)



額の汗を拭い、颯爽と歩くナリ。


運命を引き寄せるタイミングをつかめるのだろうか…。







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