君のところへあと少し。

19

「うー、満腹ぅ〜!」


驕りだというのでたらふくお好み焼きを食べてしまった。

色気もくそもない。

色気より食い気だ。


「よく食うよなぁ。でも太んねぇだろ。」

「そんな事ないよ〜、もうアラサーだからね。油断すると太るもん。」


お腹をムニッと摘まむと、ナリは声をあげて笑う。

「つか、色気ねぇなぁ!男の前で腹摘まむかよ、普通!」


ケラケラ笑うそんな楽しい時間。

「いいじゃん!私はオバサンだから〜♪」

「シラフでそれだと酒入ったら怖そうだよなー、ハル。」


そして再び自然と繋がれる手。

ゴツゴツした大きな手。
ハルの小さな手はすっぽりと包み込まれている。


向かい側からスーツ姿の集団が近づいていた。

(よけなきゃ。)

瞬間、集団から声が上がる。


「おー、三浦じゃん!何お前、今日の飲み会不参加はそーいうことー?」

「ゲ」

7〜8人の集団。
男性の中には女性もいる。


「え〜、三浦さんカノジョ居たんですかぁ〜?」

え?カノジョ?


キョトンとしたハルを背中に隠すようにし、ナリは問いに答える。



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