恋花火~あの日、言えなかったコトバ~
「ねーサヤカ、今頃うまくいってるかなぁ」

「あの子なら大丈夫だよ。
でも、報告が遅いの気になるな。

ま、2人の世界に入ってるだろうから

気長に待ちますか」


と、慌ただしく足音を立てて

マイのお母さんが部屋に飛び込んできた。

「あ、サヤカちゃんも来てたのね。

マイ大変よ、さっきカナちゃんのお母さんから

連絡があったんだけど、

カナちゃんが事故に遭って
意識不明の重体ですって」

「え、嘘… どこ?

どこの病院なの?」


マイのお母さんに連れられて

あたしとマイは○○総合病院へ向かった。

カナが居ると教えられた病室の前には

既にカナのお母さんが

祈るような気持ちで座っていた。

「おばさん、カナは、カナは大丈夫なの?」

「サヤカちゃんにマイちゃんも…

来てくれてありがとうね。

お医者様が言うには、

今が生死の境目なんですって。

あの子にもしもの事があったら、私…」

そういってカナのお母さんは

両手を顔で覆いうつむいてしまった。

「大丈夫だよ、おばさん。

カナは強い子だから絶対良くなるよ」

「どうしようサヤカ…

彼氏さん、電話に出ないよ…」

「ケータイ貸して。


もしもし、サヤカです。

焦らないで聞いて欲しいんですけど、

実は今、カナが意識不明の重体で、

場所は○○病院の…」
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