嘘と煙草と君とチョコレート
亜紀さんは嫌味を言ったり意地悪するような人ではないと分かっているけど、
"林さんのメアドを教えて"
とはどうしても言い出せなかった。

もしかしたら、
"そんな事いけない"と反対されるかもしれない。

ほんの少しの恐怖を胸に抱き、
意を決して相談した。

私が渡したファンレターに連絡先を書いた事、

ストを休んだ林さんにメールを催促した事、

そして本当にメールをくれた事、

この前の野外ライブで林さんが言った事、

全てを話した。

どうにもならない自分の気持ちが次々と喉から溢れ出して、
涙が出てきた。

亜紀さんはそんな私の話を、
何も言わず静かに頷きながら聞いてくれた。
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