東京ロマネスク～冷酷な将校の殉愛～《完》

「…御堂中尉殿の奥様…今日もお見舞いですか？」


「はい…主人の具合は？」


「意識はまだ…でも、心臓はしっかりと動いていますし…快方には向かっていますよ」



征史さんの手術の執刀助手を務めてくれたのが目の前の軍医・栗原洋(ｸﾘﾊﾗﾋﾛｼ）中尉。



栗原中尉殿に征史さんの容体を訊いた。
彼の優しい言葉に安堵する。


彼は階段を足早に階段を下りて行った。



私は階段を上がって征史さんの病室に向かう。




病室に入ると征史さんを救ってくれた『陰陽庁特別任務隊』の小笠原天斗（ｵｶﾞｻﾜﾗｱﾏﾄ）少将が来ていた。



「小笠原少将殿」



「…奥様ですか・・・」



制服が紫紺の色が優美な雰囲気を醸す。