東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
「…御多忙の中…ありがとうございます」


「俺は別に警察や陸軍よりかは暇だ…さすがは陰陽師の血を持つ者。普通の者ならとっくに常世の国だったが。御堂中尉は助かった…まぁ、執刀した外科医も島飼大将でよかった」




「・・・」



小笠原少将殿は陰陽師。


征史さんも陰陽師の血を引いてると言っていた。



「征史さんは目覚めるのでしょうか?」



「…目覚める…俺が何者かの放った呪詛を祓ってやったからな」



「呪詛…ですか?」



「…普通の者には見えないが…俺には見える…」



「征史さんを銃撃した者が…」



「あいつは関係ない…御堂中尉を撃ったのは『妖』だ。人の血を吸う大陸を渡って来た『ヴァンパイア』と言う。日本に居た時は『紅鬼』言われていた」


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