東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
「この部屋に俺は結界を張った…奥様もこの符を片身離さず…持っていてください。これは護符と言って…奥様を必ずお護りします」



小笠原少将は私に小さな護符をくれた。



「!?」



「んんっ…」



私は小さな唸り声を訊き逃さなかった。



「やはり…目覚めなかったのは呪詛のせいか…」



「…」



ずっと眠り続けていた征史さんがようやく意識を戻した。


「征史…さん!?」



もっとしっかりと彼の顔を見つめたかったけど涙で霞んでしまい、良く見えなかった。



< 115 / 300 >

この作品をシェア

pagetop