東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
征史さんも病院を退院して、自宅療養となった。



今夜は帝国劇場で『オペラ座の怪』を観劇する日。



私はドレスを着ておめかしをする。
桜色のシルクドレスに真珠のネックレス、白いオカマ型帽子を被った。




「入るぞ」


「!?」


征史さんが私の支度室へとは入室してきた。


彼は正装の軍服姿。

軍刀は右の腰に提げていた。



「桜色か…お前の白い肌には桜の色がお似合いだ…」



「…椿…左手を出せ」


征史さんの言う通り私は左手を出した。


小さな箱から取り出されたのは指輪。


征史さんが私の前に跪いて左手の薬指に指輪を嵌めた。


ひねり梅と言われる形のダイヤモンドの指輪。


梅の花の中心に見立てられたダイヤが銀色に輝いてる。











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