東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
玄関先には椎名だけではなく、通の姿もあった。



「通…?」



「…話は全て…椎名大佐殿から訊きました」



「椎名お前!?」



「俺たちが去った後…お前をフォロー出来るのは通だけだからな。お前に黙って話した事は謝る」



椎名は俺に頭を下げた。



「椎名…」



「お二人ともお元気で…」




「通…色々とありがとう…」



樋川は通との別れを惜しむ。




俺と通の見送りで、青い月の夜…二人は元の世界に帰って行った。



「月に向かって帰るなんて…まるで『竹取姫』ですね」


「そうだな…」



俺と通は青い月を見つめる。


「当主…これからもよろしくお願いします」


「通…俺の方こそ…頼んだぞ」


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