東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
「どうして…この俺が貴様にダンスを教わらなければいけない…」



「夜会で恥をかきたくないだろ?」



「それは…」

相談相手の選択を誤った。
宿敵である成宮に相談したのがそもそも間違いだーーー・・・



「貴様は燕尾服姿の殿方達の中、軍服の正装姿で出席するんだろ?ダンス間違えたら…目立つぞ~っ」



「それを言うな…」



「ほら、立て…」



安楽椅子に座っていた成宮が立ち上がった。

俺も渋面で立ち上がり…成宮にダンスの手ほどきを受ける。



「背筋は伸ばせよ…」


「わかっておる…そう何度も言うな!」


「頭では分かっていても…身体が全く分かってないぞ…御堂」


「うっ…それよりも…近すぎないか?」



「…何だ?俺の色気に悩殺されたか?」



「違うっ!!違うぞ!!くそっ…軍刀を持ってくれば良かった…貴様を斬りたくて仕方がない!」




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