東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
講義を終えて、迎えの自動車に乗り込む。



後部座席から見える東京の街。



令嬢である私は大学と屋敷を往復するだけ。


自分の足で街を歩いた事はない。



外出の際は必ず…運転手の甲本さんが付き添う。


秋のように自由には街と屋敷を行き来はできなかった。



鳥籠の中にいる小鳥のような自分の境遇を少しだけ呪う。



このまま、御堂中尉殿に嫁ぎ…私の人生はそれでいいのだろうか?






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