東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
「お帰りなさいませ…椿様」



車寄せに停まった自動車に秋が駆け寄って来た。



「ただいま…」

私の降り立って、秋の挨拶に応える。



前に停まった見慣れない自動車に視線が向かう。



「秋…お客様?」



「…花菱銀行の方々がお見えになっております」



「そう…」



最近、頻繁に屋敷には銀行の方々が出入りしていた。



「…ねぇ?秋…何のお話かしら?」



「私には分かりません…」





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