東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
「失礼します…お父様」


「…椿か…」



お父様は不自由な身体を動かし、机に向かっていた。



「…お体が大丈夫ですか?」



「大丈夫だ…」


お父様は私を気遣い、優しい柔らかな笑みを浮かべる。



「銀行の方とはどのようなお話を…」



私は遠回しに、探りを入れた。



「…椿…」



「佐助叔父様の借金は…佐助叔父様が返すべきです…」


「…私は中尊寺家の家督継いだ…当主だ。汚名は後世に残したくない!!」


< 36 / 300 >

この作品をシェア

pagetop