東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
「使用人…外に居るんだろ?接吻は終わった入って良いぞ」


「失礼します…」



秋は遠慮がちに居間に入って来た。



「・・・」


盆の上には秋の淹れた珈琲と初めて見る小さな愛らしいチョコレートのお菓子。



「ボンボン・オ・ショコラだ」


私たちは元の位置に座り、秋の支度を待つ。


濃厚な芳しい珈琲の香りと甘いチョコレートの匂い。




「…使用人…貴様の名前は?」



「私は秋です…」



「秋か…ふーん…貴様は辞めるのか?」


「いえ、あ…私は…」



秋は私の視線を意識して返答に困った。




「まぁ、いい下がれ…」



「失礼します!」

秋は頭を下げて居間を出た。



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