上々、花日和


朝食は用意していなかったので、今朝はオレンジジュースをリビングで飲んでる。

「今日はどうしよっか。ハナちゃんをひとりにはさせたくないんだけど」

「んー、ひとつだけ気になる所があるんですよ」

「どこ?」

「車…って今日も使えるんですか?」

「ああ、もちろん。滞在中はずっと借りてあるよ」

「ウミガメ…見てみたい…です」

奢られるのが苦手、甘えるのが下手くそ。
そんな自分なので、こんなふうにお願いをするのは気が引ける。

「おっ、大丈夫。わかる」

「すみません…」

ウミガメはハワイでは大切に扱われていることで有名。
ウミガメはホヌと呼ばれ、長寿や幸福を運んできてくれるって言われてる。

「ああ、じゃあ俺もひとつ、会いたい人がいるから寄って行っていい?」



車を北に走らせ、ノースショアという街までやってきた。
赤い土に青空、木の電柱。街並みもノスタルジックな建物。

同じオアフ島なのにホノルルとは風景が違う。

「ほら、あそこ。ウミガメいる場所」

と言うけど、車はその場所を通り過ぎてしまった。

「え、あれっ」

「見たでしょ?」

「えっ、寄ってくれないんですか?」

いじわるそうな顔でこちらを見る。

「ぷっ、大丈夫だって。今の所はオススメできない。観光客いっぱいだから。うじゃうじゃだったでしょ?」

「あ!そういう意味!いじわるされたのかと思った…」

まんまと騙されましたね、って顔してるよ!悔しい…
< 26 / 47 >

この作品をシェア

pagetop