上々、花日和
砂浜ワルツ


うっすらと夜が明けてきた。私は少し喉が渇いたことで目が覚める。

窓の外を見てみると、何時かはわからないけど、もうすぐ太陽が昇るような空だった。

昨日はお酒を飲んで、私は1階のソファーで眠った。
ベッドを使ってもいいと言われたけど、大きくて居心地の良いソファーが気に入ったのでリビングで眠った。

電源を入れて冷却を始めた冷蔵庫は問題なく動いている。ミネラルウォーターが冷たくて美味しい。

リビングからベランダに繋がる窓を開けて、私はそのまま海辺へ歩く。

裸足で歩く砂浜は夜の空気で少し冷んやりしている。

静かな波の音に心を委ねる。

「おはよう」

ベランダから永富さんの声がする。

「おはようございます」

「早いね」

「うん、なんとなく目覚めちゃって」

永富さんも裸足で私のそばにやって来た。

「太陽はあっち、ダイヤモンドヘッドくらいのとこから昇る」

指差す左の方向を見るとだんだんと明るくなる空、ダイヤモンドヘッドとワイキキのビルが見える。

そっと永富さんの指が私に触れて永富さんが私に寄り添う。

「ダメ?」

「ううん、平気…です」

言葉は少なくても指が伝えてくれているようで、安心できる。

夜明けのグラデーションみたいに、あまりにもめまぐるしく増す気持ちは本物?

進みすぎないように自分に言い聞かせたいけど、先はどうあれ今を大切にしよう、そう思った。

間もなく太陽が現れ始めて朝になる。
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