上々、花日和
「会いたかった」
右肩に掛けていたバッグをスルリと床に落とされ、首筋に唇が触れ、耳に甘い吐息がかかる。
「あ…っ…」
「いいだろ…」
私は抱きかかえられ、体は地を離れる。
「きゃっ…」
寝室のベッドにコロンと落とされて、仰向けの私上に彼の体が重なる。
甘い時間は果てしなく思えた。
彼に抱かれている間はすべてを空っぽにして甘い海の中にいれるんだ。
ハワイで過ごしたあのビーチと熱い夜を思い出す。
そしたら一気に全身が火照る。
ベッドで眠る永富さんの顔に見惚れる。
そっと前髪に触れて、彼が目の前にいることを確かめる。
「なんだよ、それ。誘ってんの?」
急に目を開ける彼。
「ちがうーそんなんじゃない」
誘ってるとか恥ずかしいじゃない。
「そんなことされると、また欲しくなる」
グッと体を引き寄せられる。
「だめ」
「ケチ」
自分じゃない体が隣にあって、それが温かくて愛おしく思えた。隣にそう思える体があることを確かめていたい。
「誘ってないよ」
言い訳してまた髪を触る。
「くすぐったいから」
「だめ?」
「…いいよ。その代わり、今日は泊まっていって」
そう言うと私を抱きしめる。
「んー…」
迷ってる私の目をじっと見つめて、
「帰ったら寂しいから…」
ダメって言わせない感じのその目に弱いよ。
「うんー…わかった」
私がそう言うと、永富さんはおでこにキスしてくれた。
人に甘えられたり、自分が誰かに甘えたりなんてしばらくなかったから、ぎこちなくて新鮮。
まだ永富さんを好きになった入り口なのに、どんどん気持ちが深くなっていく。
旅の非日常な環境で一瞬だけ高まった気持ちなんじゃないかと思っていたけど、大きく気持ちが傾いてる。
