SS男子の落とし方
「素直で宜しい。」

クシャクシャっと咲也君に髪の毛を乱された。


「...ホント、ムカつく。」


「それでも俺が好きなんだから、仕方ないでしょ?」


首を傾げる仕草ですら、心がキュッとなる。


「でもまあ、そろそろ帰ろうか。」


「何か損した気分。
言い損だよ。」


「ちょっとは居てやったろ?
寒いんだから、帰らせて。
風邪とか引いたらどうすんの?」


もしかして、心配してくれ...


「あ、俺がね。
俺が風邪引いたら俺が困るからね。」


「あっそ。」

プイと背中を向けて、家の玄関扉を開けた。


後ろから「怒らせちゃったー」とか楽しそうな声が聞こえたけれど、とりあえず無視!!


「バイバイ!!」


私が振り返らずに言うと、

「じゃあな。
一応、風邪引かないようにな。
勿論、俺が困るから。」

と咲也君が微妙に優しい言葉をくれた。


はぁ...

そういう所に私は弱いんだよなぁ。
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