SS男子の落とし方

新学期が始まりました。

「おい...ゴールが見えてたんじゃなかったのか?」

始業式を終えて、教室で冬の課題の残りをひたすら消費している私のところに、咲也君が本を取りに来ていた。


「見えてたんだけど、数学がどうしても分からなくて...」


「ホント、芽依って馬鹿だよね。」


「一体誰のせいだと...」


はぁっと怠そうに私の前の席に咲也君が座った。


「ん?何か言った?」


「いいえ。
はい、どーぞ!」


ドカっと晋也さんの本を机の上に置いた。


「悪りぃな。」


本を受け取って鞄に入れても、咲也君は席から立ち上がらなかった。
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