SS男子の落とし方
「俺は記憶喪失になりたくないな。」

咲也君は階段をおりながら、そう言った。


「芽衣との思い出、忘れたくねぇし。」

その言葉にときめいて彼を見ると、

「って言うとでも?」

と嘲笑っていた。


「人の気も知らないくせに。」


「ん?何か言った?」

立ち止まって振り返る。


「何でもない!」

咲也君の背中を押して、映画館を出た—
< 361 / 379 >

この作品をシェア

pagetop