嘘と微熱と甘い罠

表情を見て、私が思っていることがわかったのか。

相良は大きくため息を吐いた。

そして。

今私が置かれている状況を説明してくれた。





お酒を飲みすぎたこと。

それはいつにない酷さで、歩くのも儘ならなかったらしい。

何度も私の家の場所を聞いたけど「相良の部屋に行く」としか言わず。

困った相良は自分の部屋に私を連れてきた。





それだけでもかなり相良には迷惑をかけているのに。

私の悪態はまだまだ続いた。





「…なんで私、服着てないのよ」

「店出て吐いて汚して。部屋入ってから勝手に脱いだ」

「はっ!?」





脱いだものは洗って乾燥機に入ってる、と付け加える相良。

…吐いた上に勝手に脱ぐとか。

穴かあったら入りたいよ…。





「…さっき言ってた“お姫様”ってのは…」

「ベッド行けっつったら“お姫様抱っこしろ”って喚いたんだよ」





…否。

穴があったら、埋めてください…。




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