嘘と微熱と甘い罠
いくら鈍い私でもわかる。
そこまで察せない女じゃない。
「…先に行ってる」
「ん」
相良を軽く見上げて声をかけると。
人事部の可愛い子ちゃんに頭を下げられた。
そして。
「…ここじゃ、ちょっと…」
「じゃあ、あっち行きます?」
恥ずかしそうに俯く彼女と、少しめんどくさそうな顔をした相良は。
少し離れたロビーへと歩き出した。
2人の背中を見て、私。
思わずため息を吐いた。
「…今月何回めだよ、あのモテ男…」
モテ男…いや、相良はなぜかモテる。
見た目は悪くないと思う。
でもしつこくて悪いけど、頭の中は花畑だ。
相良には意味がわからないって言われるけど。