嘘と微熱と甘い罠

それからの私は。

自分がメインの仕事だというのに、相良のサポートにまわっている。





「天沢、デザイン部行って頼んでおいたものもらってきて」

「資料室にこれ、返してきて」

「あ、コーヒー飲みたい。買ってきて」





…あー、はいはい。

わかりましたよー。





最早雑用係と化している私。

これだけ相良の雑用をしているのに。

あの甘い空気の中浮かんだという“いい案”ってやつは教えてくれない。

聞いても「まぁ、見てろよ」と。

いやらしく口元を持ち上げるだけ。





…この案件。

とりあえず私がメインで任されたんですけど。

これじゃ課長に進捗状況聞かれたって。

答えようがないじゃないですか…。





でも。

正直相良の企画は気になる。

盲点、というか。

「あ、そうか」と思うようなものを出してくるから話の広がりが早い。

…早く、全貌を明かしてくれないかな…。





< 204 / 325 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop