生きたくなんてなかった




「あ、先生良いとこに。
さっきな柚ちゃんの指が動いたんだぜっ!」


何も知らない綾女がさっきの出来事を話した。


先生の目が綾女から俺に向いた時


分かってるな


そう言われたような気がして頷いた。


「そうか。
綾女や紀本、お兄ちゃんと一緒にいれて嬉しいんじゃないか?」


先生はもう一度綾女を見て、そういい笑った。



「じゃ、ちょっと恭乎を借りるけどいいかな?」


「紀本、柚のこと頼むは」


「うん、分かってるよ」


「ちょっと待て、俺には頼まねえのか?」


「さ、行きましょ先生」


要人の事は無視して、俺と先生は柚の病室を後にした。








< 26 / 94 >

この作品をシェア

pagetop