生きたくなんてなかった
「あ、先生良いとこに。
さっきな柚ちゃんの指が動いたんだぜっ!」
何も知らない綾女がさっきの出来事を話した。
先生の目が綾女から俺に向いた時
分かってるな
そう言われたような気がして頷いた。
「そうか。
綾女や紀本、お兄ちゃんと一緒にいれて嬉しいんじゃないか?」
先生はもう一度綾女を見て、そういい笑った。
「じゃ、ちょっと恭乎を借りるけどいいかな?」
「紀本、柚のこと頼むは」
「うん、分かってるよ」
「ちょっと待て、俺には頼まねえのか?」
「さ、行きましょ先生」
要人の事は無視して、俺と先生は柚の病室を後にした。