[短編]美容師だって恋をする
予定より少しだけ早く来店するマミ。

いや・・・店に入って来ない。

ドアの向こう側からこっちを見てる・・・

「じーーーっと」・・・なんで入って来ないんだ・・・


今日の服装はもう初夏を思わせるワンピース

すらっとしたその立ち姿はさすがモデルさんって感じで。


さっきから、見られている僕。

気づかないふりをするのも限界に近づき

ドアの外のマミを呼んだ。

「どうしたの?入ってきなよ。」

「あっごめんごめん・・・」マミは申し訳なさそうに話し出した。

「店の感じ。変わっちゃってて・・・」

「どうかな・・・こういうの。」

「うんうん・・・いいと思う。」マミの笑顔を久々に見れて

僕は、また恋心が再熱してしまった。

「こないだ、立花さんがきたよ。」

そうだ・・・困ったときは立花さん。

共通の知り合いじゃないか~

マミは喜んで

「いつも、仲良くさせてもらってます~シュウさんのことすごくいい人だって言ってますよ。」

その場の雰囲気は完全に僕に追い風が吹いているようだった。

「今日はどうする・・・?」

僕は当たりだが、彼女の髪に触れる。

鏡越しにまた目が合うんだが

彼女は今日はすごくリラックスしていて・・・

お客さんの安心した顔が

この仕事してて本当に嬉しい瞬間っていうか・・・

やっぱり、まぎれもなくマミは可愛く

「5センチほどで・・・」ってつぶやく。

大好きなマミの髪を

僕は全力で綺麗にしたいって

でも、手元は冷静に

ハサミを入れていく。

「今日はいろいろ聞けそうだ・・・

マミのこと。もっと知りたい・・・」

ゆっくり・・・ゆっくり・・・

僕はハサミを入れながらその時間を楽しんだ。



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