アイドル目指します!
夢の始まり
――春。桜の花びらがふわりふわりと舞っている。

とっても、綺麗。

なんて乙女ちっくなことを考えながら学校への道を歩く。



「りぃーほおぉ!おっはよう!」
ドンッ



あたしの名前を呼びながら後ろから誰かが突進してきた。

誰かなんて分かりきってるけどね…。

きっと…ううん、絶対。
親友の遠藤 葵(エンドウ アオイ)だ。

「葵、おはよう。朝からテンション高いね〜」

あたしは言いながらくるりと後ろを振り向いてみた。……やっぱり、葵だった。

「だってだって!理穂、昨日のニュース見た!?」

昨日のニュース……あぁ、葵が興味を持つようなニュースといえば…

「某アイドルグループがオーディションを開催するっていうニュース?」

「そう!それだよそれ!」

葵、受けるのかな?
…葵なら受かる気がする。

葵は美少女だし、めっちゃモテるし……

ほんと、あたしとは大違いだよ。

「理穂?どうしたの?」

「あ、ううん。なんでもない。それより、さ。葵、アイドルのオーディション受けるの?」

「………やっぱ、無理だと思う?」

「そんなことないよ!絶対、受かるって!」

「…ありがと!あ、ねぇ、理穂もオーディション受けてみない!?」

……はい?

あたしが?

「む、無理だって!無理無理!」
「そんなことないって!理穂、可愛いし!」

いや、葵に言われてもお世辞にしか聞こえません。

「むーり!あたしは葵を応援するからいいの!」

「えー…。理穂とアイドルになりたかったのに……。」

「無理!ほら、そんなことばっかり言ってたら遅刻するよ?」

少し遠くに見える学校の時計を見ると、チャイムがなるまであと5分ほどしかなかった。

「やば!理穂、走るよ!」

「うん!」
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