日々共に一緒に笑おう


すぐに、叔父さんが来てくれるから。

だから雅は、一番綺麗な黒い服を着て。

叔父さんに、これを渡してくれないか。


必ず、必ず、忘れずに。


それから。
おとなしく、泣かずにね。

雅は笑うと可愛いけれど、あまり楽しそうに笑ってはいけないよ?


雅は何でも上手に出来るから。

おとなしく、言われたことに頷いていれば、きっと可愛がってもらえる。


ね?

叔父さんに、必ず、渡して。
雅のことが、書いてあるから。

すぐ、来てくれるから。




と。
そう、言い含められて。

入園の為に用意した、黒いワンピースに袖を通した雅は。

背中のファスナーを閉められないまま、会ったことのない“叔父”を。


丸1日と少し、待った。


一昨日、母に買って貰った、卵ボーロを食べながら。

お風呂場のカランからの水を、飲みながら。



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