最愛HONEY



「…ぅわっ」


息を潜めて近づいて、

その無防備な後ろ姿に、私は思いっきり抱きついた。


「な…急に何すんだよ?データ消えるとこだったじゃん」


画面を気にしつつ、慌てて振り返った“彼”は…


「何?お前、今日は遅番だったの?」


ようやく、私に気づいてくれたみたいだ。


「そうだよー。今朝、ちゃんと言ったじゃん。」


振りほどこうとする手を制して、さらにきつく抱きついて抗議すれば、


「あー、悪い。聞いてなかった。」


素っ気なく言われて、ぷいっと顔を背けられてしまった。

……ひどい。


「ウソっ。私が“一緒に帰ろうね?”って言ったら、龍ちゃん“うん”って応えたよ?」

「…ふぅん。いつ?」


カチカチと。
再びパソコンに向かう彼。
全く私に興味なし。

そりゃ、仕事も大事だけど…少しくらい話してくれてもよくない?

んもうっ!


「だから、朝!学校行く前、ベットの中で…」

「……!」

「行ってきます、のキスしたとき…「ストップ!」


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