花と雨の恋物語【短】
俺は料理本を見ながら、必死に作った。
普段はほとんど触らない包丁。
なんで人参ってこんなに固いんだよ・・・。
そんなことを本気で思ってしまう自分が情けない。
いろんな物と格闘しつつ、2時間台所に立ち続けた結果。
見た目は最高なカレーが完成した。
花さんをそっと見ると、静かに編み物をしていた。
よしよし・・・・。
俺は、ごはんのなかに、ある“物”をいれる。
「花さ~ん、できたよ!座って座って!」
テーブルに綺麗に飾り付けをし、花さんを座らせる。
「いい匂いがすると思ってたの。この様子だったら、完璧みたいね」
「まーね、だって俺が作るんだもん」
花さんは、これから待ち受けているサプライズにまったく気づいてないみたいだ。