王子様と恋したい

「美香…?」



俯く美香にわたしは声をかけた。


「夏希の…せいだったんだね。ねぇ?夏希が直人をたぶらかしたんでしょ?」



美香は鋭い目をわたしに向けながら言ってきた。


「ちがう!そんな事してない!!それに、わたしは直人さんと付き合うつもりはない!」


わたしは必死に訴えた。
だけど、今の美香にはわたしの声は届かなかった。



「うるさい!うるさい!うるさい!あんたなんか信用できない!!あんたのせいで…あたし、あんたが大っ嫌い!」



美香は走って去ってしまった。
この時、追いかけたら何かが変わっていたかもしれない。
もしかしたら、仲直りできたかもしれない…




だけどわたしは、美香に言われた"大嫌い"の5文字が頭から離れなくて足が動かなかった…


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