王子様と恋したい

「ねぇ、かず兄。わたし青藍行くくらいなら働きたい。」




「・・・・・・」




無視かよ…




「ねぇ、だから、青藍行くなら働くって!!!」


わたしはついつい少し大きな声をあげてしまった。
それからハッとした。やばい…
なぜなら、かず兄の顔から笑顔が消えていたからだ…



バンッ



ビクッ!!!!
かず兄が近くの椅子を蹴り上げ、思わず体が硬直してしまう。



「か、かず兄…?」



様子伺うようにかず兄に声をかけたら、鬼のような形相で睨まれた。



「あ"ぁ⁈ 働くだってぇ!?なに馬鹿なことほざいてんだよ。俺がせっかく用意した学校だぞ…?まさか行かないなんて言わないよなぁ?」



じりじりと近づいてくる鬼の顔をした兄。


「は、はい…行きます…」



これには、こう返事するしかないよね。


いつもはシスコンな過保護な兄でも、やっぱり元総長。
キレたら、わたしでさえ逆らうことはできない…



ニコッ



「わかったらいいんだよ~。さすが俺の妹!物分りが良くて助かっちゃうなぁ〜」



いやいやいや、あなたが脅しただけでしょ⁈


なんて事は言えないから、わたしは引きつりながらも笑顔をつくりため息混じりに返事をした。



もう、青藍から逃げる事はできないな…



『夏希ー!!!大変だ!!!!』



少し頭を抱えたわたしの元にやってきたのは、現副総長の榊潤(さかきじゅん)。


「わぁ~!じゅんじゅんじゃん!ひっさしぶり〜!!」



能天気に手を降る我が兄貴。



「わぁ、お久しぶりっす!って昨日も来てたじゃないですか!…あ!それより、夏希!今から龍雷(リュウライ)潰しにいくぞ!!!」






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