王子様と恋したい
そんなこんなでいつの間にか理事長室の前にいた。
コンコンッ
「どうぞ」
ガチャ
「失礼します。」
ムギュ
「……⁈⁈⁈⁈」
理事長室に入るなり、わたしはいきなり襲われ……いや、抱きしめられた。
「かっ、可愛いーー!!!夏樹ちゃんよね?!わたしは理事長の真理子よ!!和樹から話しは聞いてるわっ♡」
なんてテンションの高い人だろう…
やっと熱い抱擁から解放され、真理子さんに挨拶をする。
「坂下和樹の妹、坂下夏希です。
いきなりで申し訳ありませんがよろしくお願いします。」
わたしは深々と頭を下げた。
「あら~!もうそんな硬くしないのっ!かず兄とわたしの仲なんだからっ!」
そう、かず兄と真理子さんは龍月(リュウゲツ)という暴走族の総長、副総長だった関係だ。
もちろん総長は、かず兄。
そして、今の龍月の総長はわたし。