唇が、覚えてるから

そのかわり。


「誕生日は?」

「6月15日」

「血液型は?」

「O型」

「好きな食べ物は?」

「カレー」

「兄弟は?」

「いない」


祐樹のことを沢山知りたくて。

取り調べの鬼みたいに、祐樹のプロフィールを聞いた。

どさくさにまぎれて聞いた

『好きな人はいる?』

こんな質問。

『いない』

…即答されて、ちょっとへこんだ。

自惚れてたわけじゃないけど、私のことが好きだから会ってくれてるわけじゃないんだと再確認させられて……。


どうして私に毎日会ってくれているんだろう。

単なる暇つぶし……?

面白いネタでも転がってそうだから……?

そう思うとますます迷宮入りしそうだから、考えないことにした。


でも、好きな人がいないってことは、これから私のことを好きになってもらえる可能性もあるはず。

よし、がんばろう!

基本ポジティブな性格の私は、そう考えることにした。
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