唇が、覚えてるから

***


「ビッグニュース!」


その日、実習を終えた希美の目が輝いていた。


「友達が樟大附の医大ジュニアにナンパされたんだって!でね、土曜日合コンを開催しまーす!」

「マジ!?」

「大マジ!真理も琴羽ももちろん行くよね!すぐ返事しなきゃいけないの!」


桜杜の子達は、樟大附の医学部コースの男の子のことを"医大ジュニア"と呼んでいる。

将来のお医者様を、高校生の時から狙おうとしたかなり昔の先輩がつけた呼び名。


「行くに決まってんじゃん!樟大附の医大ジュニアっていったら金の卵だもんっ」


真理はノリノリで即答。

そして私にも"ねっ"て目くばせする。


「えー。でも……」


好きな人がいるのに合コンに行くのは少し抵抗がある。


「もしかしたら祐樹くんも来るかもよ?イケメン揃えとくって言ってたから」


希美が私を肘で突つく。
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