唇が、覚えてるから

「琴羽の私服って、いつもこんな感じなの?」

「……ん?まぁ……ね」


急いで向かうと祐樹はもう到着していて、私の私服姿を見るなりそう突っ込んできた。


そういえば、私服を見せるのは初めてだ。

いつもは高校の制服か白衣だから。

可愛いと言ってもらえるのを少し期待してたのに、どう見ても不機嫌顔。


「スカート短かすぎない?」

「は?」

「しかもノースリーブなんて露出多過ぎ」

「なにそれ、おやじくさいし!」


祐樹って彼女の私服に口出しするタイプ?


なんかめんどくさいなあ。

これでも露出はセーブしたつもりなのに。

顔に似合わないことを言う人だなと思いつつ、その顔を見上げて。


「……祐樹に会うからオシャレしてきたのに」

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