唇が、覚えてるから

虹掛かる空と君


「うそでしょ……」


デートの日は、朝からあいにくの天気だった。

昨日まで晴れていたのに、窓を叩きつける勢いで雨が降っている。


もしかして、中止になる?

私は雨だって行きたいけど、男の子は雨だと出掛けるのが面倒に思うかもしれない。


どうか中止メールが鳴りませんように!

そう祈りながら決行を信じて髪をブローしていたのに、やっぱりメールが来てしまった。

……中止か。

がっくりしながらメールを開くと、


『遅れんなよ』


「えっ!?」


中止メールではなかった。


やったやった!

一気に私の心は晴れる。


そうそう。

一緒にいられれば、天気なんて関係ないもんね!


祐樹!ありがとう!

嬉しすぎてスマホを胸に抱き、8時の待ち合わせに遅れないように、急ピッチで準備を進めた。
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