唇が、覚えてるから

すると緊張なんかあっという間に解けて、変わりに訪れるのは甘い痺れ。

キスの仕方なんか分からないのに、祐樹の唇に倣うように、私の唇も勝手に動いていた。

引き寄せあった磁石みたいに、いつまでも離れずに。


唇って、こんなに熱いの?


それは。

祐樹も同じ気持ちでいてくれるから……?

祐樹も同じ気持ちでいてくれてるって思っていいの?


だんだんと深くなっていく祐樹のキスで生まれる熱は、体中を支配し、頭の中はもう祐樹でいっぱい。


……でも。

まだまだ祐樹が足りないよ。


もっともっと近づきたくて、思わず祐樹のシャツにしがみついた。
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