唇が、覚えてるから

無言のまま、しばらく歩き続ける。


……祐樹。

私には、かける言葉が見つからなかった。


痛いほど分かるから。

今、祐樹が何を思っているかなんて………。

握った手から伝わる温もりは、どこか哀しみを帯びていた。


着いたのは、広い公園だった。

祐樹が空を見上げる。


「……この後すぐ、親父も喪主になるんだな…」

「……っ…」

「息子の葬儀出させるなんて、親不孝だな、俺……」

「ゆう……き……?」

「……俺、もう行かないと……」


体の中に冷たい感覚が走り抜ける。


中山さんの死。

それは、祐樹との別れも意味している。

漠然と、どこかで感じていたこと。


「え……なに、言って……」


けど。

分かりたくなった。

ううん。

分かんない。
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