唇が、覚えてるから

……中山さん。

自分だってあんな重い病気なのに、息子さんまで失うなんて。

きっと事実を受け入れられないことが、想像のなかでの息子さんを作り上げているのかもしれない。


息子さんの死を本当に受け入れたら。

病状はもっと悪化して、中山さん自身の生きる気力まで奪ってしまうかもしれない。


体の病と、心の病。

私にできることは、何かあるんだろうか……。


色々な考えが入り混じり、これからの実習、私は不安でたまらなかった。
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