お父さんの彼女なんかに取られてたまるかっ!!(仮)


「――あ、江夏先生ー!」


 美少女が眩しい笑顔で、テーブルのそばまでやって来た。

 わぁお! 近くで見るとますます美少女ー!

 女の私でも、思わず見惚(みと)れてしまう。


「今日、生徒会だったんだろう? 遅くまでお疲れ様」


 お父さんが美少女を労(ねぎら)った。

 なかなか見ない、お父さんの先生の顔。生徒に対しての優しさが滲(にじ)み出てる。

 これが私のお父さんなんて……マジで自慢なんですけどー!


「早く終わらせたかったのに、なかなか話し合いにキリがつかなくって……本当、まいりましたわ。うふふっ」


 美少女は、肩をすくめながら言った。

 声まで美少女だ。高くて可愛い。

 話し方もお嬢様だし……これはこれは、お育ちが良さそうですわぁ。あは、なんちゃって。


「ねぇカツ。すっごい美少女だと思わない?」

「……うん……確かにな」


 お、珍しい。カツが女の子に対して、魅力を認めるなんて。

 カツってば、何気にモテるのに、告白を断ってばかりなんだよねー(同じ幼なじみでも、私は全然モテないのに……)。好きなタイプを訊いても、なかなか答えてくれないし……。

 ひょっとしたら……このコみたいなのがタイプだったりしてー! 

 いよっ! にくいねぇ! この面食いっ!


「……お前。何でそんなにニタニタしてんだよ」

「えぇ? べっつにぃ?」


 私はわざとらしく、ピュピューと口笛を吹いた。

 よっしゃ! ここは一つ、私が恋のキューピッドとやらになってみますか! ぐふふ!

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