お父さんの彼女なんかに取られてたまるかっ!!(仮)


「っ!!」


 げーーっ!! やっぱりーっ!!


 その美少女に見つかる前に、素早くしゃがみ込み、身を隠した。

 三階からでも、一瞬だけでも、その姿はハッキリと見えた。

 セーラー服の美少女は――


 真矢っ!!


 なっ……何で真矢が、うちの学校に来てるのぉー!?


 気が焦り、心臓がドッドッと強く打たれだす。


「咲華。急に座り込んでどうしたんだよぉ」


 隣に立つカッシーが、不思議そうに見下ろしてきた。


「へっ? えーっとぉ……ちょっと休憩? ナハハー!」


 とっさにゴマかした。


「こんなところでか? 変なヤツー。
 いやしかし、春学にあんな美少女がいたとはなぁ。もっと早く出会いたかったぜー」


 出た。カッシーの、ど面食い。超デレデレしてるし。

 カッシーって、ホント美人に目がないよね。今までの好きなコもそう。最近では、去年ミス秋高に選ばれた三隅(みすみ)さんにアピールしてたなぁ……玉砕したけど。

 それよりか、どうしよう! 真矢になんかに絶対見つかりたくないっ!

 頼みのカツは、バイトで先に帰っちゃったし、カッシーはこんなんでアテにならなそうだし……もう、誰かあのお嬢を何とかしてぇ!

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