お父さんの彼女なんかに取られてたまるかっ!!(仮)


「おいっ!! 咲華、大変だぁっ!!」


 っ、ビックリしたぁ。

 ベランダに出たばかりのカッシーが、興奮ぎみに叫んできやがった。


「な、何が大変なのさっ」

「外にセーラー服の美少女がいるぞ!!」

「は……はぁー? セーラー服の美少女だぁー?」


 うわ。今一番聞きたくないフレーズだし。イラっときたわ。

 真矢のニッコニコとした顔が、ますます色濃く思い出される。まるで、私をあざ笑うかのように……。


「あっそ。別に大変じゃないじゃん。早く掃除してよっ」

「いいから来てみろって!!
 あの美少女……咲華の父ちゃんが勤めてる春学の生徒だぞ!!」

「いっ!」


 春学の……生徒ぉ!?

 私が密かに動揺してる間に、他のみんなはカッシーの言ったことに食いついて、一斉にベランダへと出ていった。


「わぁ、ホントだー! すっごい可愛いー!」

「あんなコ、見たことねぇぞ!」


 春学の生徒で、みんなが騒ぐぐらいの美少女って……やだ。ものすごーく嫌な予感しかしない。


 おそるおそるベランダに出て、その答えを知るべく下を覗いた。

< 51 / 76 >

この作品をシェア

pagetop