お父さんの彼女なんかに取られてたまるかっ!!(仮)
「――咲華様。お車の乗りごごちはいかがでございますか?」
運転中の里田さんが前を向いたまま、後部座席にいる私に話しかけてきた。
「えーと……よく、わかりません……」
「あらぁ? そんなに緊張しなくてもよろしくってよ。さ、楽になさって」
助手席の真矢が、顔だけこっちに向けた。
「楽になんか出来るわけないでしょっ」
初めての高級車だし、どうやって楽にすればいいのかって話だし……