お父さんの彼女なんかに取られてたまるかっ!!(仮)


「冗談やめてよ! 私をどうするつもり!?
 ま、まさか……私から許しを得るまで監禁して、吊し上げたりムチでビシバシ叩いたりして脅したりするんじゃ……冗談じゃない! 今すぐ降ろして!」

「あらあら。随分と想像力がたくましい娘様ねぇ。フフフッ!」

「何がおかしいのよっ!」


 これは、里田さんの首を絞めてでも停めさせないと……と思った私は、後部座席から里田さんの首に向かって、殺意の手をそうっと伸ばし始めた。


「フフフッ、ごめんなさい。けれども、確かに家に連れていくのは、フェアではありませんわね。
 里田、行き先を変えますわ」

「え、行き先を変えるの?」


 それを聞いた私は、伸ばしかけた殺意の手を、そうっと引っ込めた。


「かしこまりました。どちらへ向かいましょうか?」

「そうねぇ……『コンソラトゥール』へお願いするわ」


 え?


「隣の駅前にあるカフェでございますね。かしこまりました」

「ちょっと、コンソラトゥールって……」

「そこならよろしいですわよね? 咲華もよーくご存じのカフェでしょうから。んふっ」

「な……何で知ってんのよ」

「もちろん、旬から聞いたのよぉ」


 あのクソ親父、しゃべりすぎナウ。

 確かに家に連れて行かれるよりかはマシだけど、

 そこのカフェには――

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