YUKI˚*









「……うん」




どうしても、須嶋くんを放っておけないよ



「白川は可哀想な奴しか見えてねーからな…」




そうかもしれない



須嶋くんが可哀想だからって



この好きの気持ちには、同情があるのかもしれない



それでも、もう




止められない




「川村くんにはすごく感謝してる。本当にありがとう」



今までの色んな思いを込めて



精一杯のあたしの気持ち




「…俺は、お礼言われたかったわけじゃないよ」



「…うん、ごめん」



「このままだったら、2人とも傷つく!そんなの見たくねーんだよ」



川村くんの気持ちは、優しさは



痛いほどわかる




「……俺に…しとけよ」




川村くん…





「離して、川村くん」




どんなに残酷でも



あたしは、須嶋くんを選んだ





ずっと繋がれていた手は



力を無くしたように、ゆっくりと外された





川村くん




川村くん



でもね、これだけは言っておきたいの



嘘やごまかしは嫌だから



ちゃんと言いたい



笑って



「大好きっ!川村くん!」



言った



本当だよ





「ばーか!行けよ、俺に…見せてみろよ」




挑発的な言葉とは裏腹に



優しい瞳をした





そうだね



川村くんの思った通りにはならないって



たとえお互い傷ついても



あたしたちは絶対に離れない



2人で幸せになるところを




見せてあげる




「待ってて!」



勢いよくそう言って、



あたしは走り出した




川村くん



あなたの想いは、絶対無駄にしないよ




絶対にみんなで



幸せになるよ!








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