YUKI˚*









…さすがに寒すぎた



2人とも疲れてしまって




浜辺に並んで座って


綺麗な夕陽を、見ていた





「……………」



「……………」




お互い黙ってて



疲れちゃったていうのもあるけど


この沈黙が



心地よかった






本当に



本当に綺麗だなぁ




冬の海がこんなに綺麗だったなんて



須嶋くんとここに来るまで、たぶん知らなかった





夕陽なんて、久しぶりに見て



だからなの?




どうしてこんなに



切ない気持ちになるの







横を向くと



須嶋くんの顔が夕陽に照らされて



その横顔があたしにどうして



辛そうに見えるの







その須嶋くんの横顔をじっと見つめていると



目が




合った






トクン、と



胸の音






自然にあたしたちは顔を近づけて





キスをした









ああ、




そういうこと





口から伝わる熱は



須嶋くんの想いをそのままあたしに伝える





いつもの甘いキスとは違う



少し強引で




苦しいキス








わかった



わかってしまった






須嶋くんが、あたしをここに連れてきた理由







唇が離れると



須嶋くんは目を伏せた






あたしは



彼の顔を見ようとすることもできない






だって



嘘でしょう?





嘘だって言ってよ




お願い






お願い









だけど



勇気を出して顔をあげたら




須嶋くんは








笑ってた







なんで



笑ってるの?




笑ってられるの?









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