YUKI˚*
一人で帰り道を歩きながら
ここら辺はだんだん、ひと気がなくなっていく
でも、いつも帰る道だ
別に今更、どうってことない
あたしはその道をいつも通り、普通にあるいていたんだ
普通に
でも
その日は、いつも通りではなかった
「おい、そこの女」
目の前に
柄の悪そうな人達がまるで
あたしを待っていたかのように
「お前、"白川ゆき"だよな?」
あたしの名前を…知っている?
でも、あたしはこんな人達知らない
ここで、はいって言っていいの?
でも
「答えろや」
そんなこと考える余裕すら、与えてもらえない
「こいつだろ、ほらコレ」
そう言って、一人が差し出した紙には
あたしが
あたしの顔が印刷されていた
何
これは、どういうこと?
この人達は、何??
「こいつで間違いねーよ、須嶋の女」
その言葉で
あたしは
抵抗することを忘れた
この人達は、あたしを知っている
そして
須嶋くんを知っている
「あたしに、何の用があるんですか」
須嶋くんを知っている人
今の須嶋くんも、知っている?
「はは、随分威勢がいいじゃねーか!さすが須嶋の女」
"須嶋の女"
言い方が嫌だった
でも
それが心地よく感じてしまっているあたしは、まだ全然忘れることなんてできてない
もうあたしは
須嶋の女じゃないのに
「須嶋くんの知り合いですか」
にこりとも笑わずに
あたしはただ、知りたいことを聞いた
目の前の男は、不適に笑う