YUKI˚*







『は?いーことじゃん。何で俺が行かなきゃなんねーんだよ』



「いいことなわけないでしょ?!ユリちゃんが他の男に取られてもいいの?」



『いいよ』



「……嘘だ」



『もう…俺らのことはほっとけよ。お前本当昔からおせっかいだよな』



「な……あたしはユリちゃんのことを思って



『じゃーこのままでいーだろ』



「いいわけなっ…………………切れてる」




強引に切られたケータイを見つめて



あたしは画面にため息を零す





この前の同窓会で



また傘みたいなことがあったらって、悠斗くんと番号を交換したけど



たぶん悠斗くんもう出てくれないだろうな…





どうしたら



どうしたら二人は


元通りになるの?




あたし知ってるよ



悠斗くんがあたしを好きだと言ったとき



その瞳は全くあたしを見ていなかった




悠斗くんが好きと言ったのは



あのとき想っていたのは





ユリちゃんで



それは今も変わらないはずなのに






一度こんがらがると



どうにもならないのはあたしだって、よくわかってる






けどそれでも…


だからこそ







もしかしたらあたしは



あたし達ができなかった



叶えられなかったことを




二人に



強要しているのかもしれない






あたし達ってほんと


出会ったときから似てるね




でも今




ただひとつ違うことは





ユリちゃん達は思いあってるけど



『大好きだったよ』



嬉しかった



だけど



大好き



…だった、んだよね




今も思いあっているという事実と


思いあっていたということの



もう、思いあっていないという現実は


違う




でも、それも違う



思いあってないんじゃない



だってまだあたしは



思いが消せてない







< 156 / 172 >

この作品をシェア

pagetop