YUKI˚*



「なんでここにいんの?」




須嶋くんがなだめるように言った




「いや、教室にいなかったから……ここにいるかなって……」



「なんか用があったの?」



「あ、うん……」



「なのに起こさないで俺の寝顔見てたんだ」



「えっ…違っ!!」



「はは、へんたーい」



「っ………」





この体勢で顔が見えないのが本当に幸い



きっとあたし


ゆでダコみたいになってる




「……離して」




やっと出た声はとても小さくて



でも、こんなに近いんだから聞こえたはず




「なんで?俺達付き合ってんだから問題ないじゃん」




ズキンッ……



須嶋くんに抱きしめられたまま、胸が痛む




「あのね、その事なんだけど……」



「ん?」




須嶋くんが優しく聞返してくる




さっきの涙が思い浮かんだ


まるで須嶋くんが泣いてるみたいに見えた



う゛ぅ……




あーダメだめ!頑張れあたし!!




あたしは息を思いっきり吸い込む




「付き合うのは……」




できないって



そう、言うんだ




ぎゅ…っと、




彼の抱きしめる力が強くなる





須嶋くん………





"付き合うのは……"






「……条件がある」




精一杯の勇気も虚しく



あぁ、何言ってんの……あたし




でも



「はは、条件って?」




須嶋くんは笑ってくれてるみたい



とりあえず、よかった




「条件、は……」




どーしよ…



付き合うのは絶対ごめんだから



須嶋くんには絶対にクリアできないような……









「今度のテストで10番内に入るとか!」




咄嗟に思いついたこと



これなら!


学校にもろくに来てなかった須嶋くんが
テストで10番内に入るなんて



ありえない




だから、付き合うこともない!





「へー、頭いい奴がいんだ?」



須嶋くんは少し抱きしめる力を緩めた




別にそんなこだわりは無いけど


んー……そういう事にしといた方がいいのかな




「…うん」



「じゃあ、それまでは付き合ってないってことになるの?」




「そう…だね」



え?



この人、条件クリアできる前提で言ってる?





それぐらいバカなのか……



まぁ、そっちの方がいいけど




「わかったよ」




須嶋くんがそう言ったことで、やっと体が解放された



あー…心臓止まるかと思った…





須嶋くんは、ニコニコしながらあたしを見る




なんとか、傷つけずに



付き合わなくてすみそう







そう考えた



あたしがバカでした




< 17 / 172 >

この作品をシェア

pagetop