YUKI˚*





「ゆきちゃん……可愛い」



ケーキをバクバク食べていると


突然須嶋くんがそんなことを言ってきて




あ、こ、これが!


世に言う『クリスマス・マジック』ってやつですか!!!




すると須嶋くんの顔が段々近づいてくる



え、もう?!


あたしまだ全然準備してなかった




でも、このチャンスを逃したら


須嶋くんとキスなんかできない!




よ、よし!



覚悟を決めたあたしは


ゆっくりと




目を閉じた





須嶋くんの


舌の感覚



ペロッと




鼻に感じた






……へっ?!



あたしは急いで目を開けた




「ゆきちゃん、鼻に生クリーム付けてたから舐めちゃった」



そう言ってニコッと笑う


この小悪魔




な、なに?



あたしキスされると思ったのに


鼻を舐められたの?!



いや、それでもあたしは十分恥ずかしいんだけど




「はは、ゆきちゃん顔真っ赤」


須嶋くんにからかわれて、もっと熱くなる頬



「もう!須嶋くんのせいじゃん!」



拗ねるように言ってみても、須嶋くんには逆効果だったみたい



面白がってあたしの頬をさする





だけど




「そんなんじゃー、キスもできないよ?」



須嶋くんのその言葉に


あたしは止まった




そういうこと?


須嶋くんがあたしにキスしないのは


あたしがすぐ顔が赤くなる子供だから?





あたしは



須嶋くんの服の袖をきゅっと掴んだ





そして





気づいたときには



もう






「…………え」



須嶋くんの声でハッとして我に返る





あ、あたし今



須嶋くんに自分からキスした?!




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